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日本人とチップ [カトマンズ]

カトマンドゥ、某有名レストランのスタッフの会話。
 
A:ねえねえ、日本人ってあんまりチップくれないよね。
B:そうそう、なんなんだろね、あれって。
A:友達の日本人の奥さんが言ってたけど、そういう習慣がないんだって。
C:ふうん、それになんか横柄なヤツ多くない?
B:あ、そーそー、「遅い」とか怒るやつって日本人に多いよね(笑)。
C:横柄でチップも無しじゃねー。
A:なんかねー。
B:もっと国際的になった方がいんじゃないの?
 
以上はにこやかになされたネパール人スタッフの会話である。
 
レストランのスタッフにこういう冷たい目で見られるのは何を意味しているか判りますよね。もちろん「良いサービスは期待できない」ということである。ばなな猫の家もカフェであるから、スタッフの目線はようく解る。スタッフたちは「結構細かいところまでちゃんと見ている」し、確実に「なんでも憶えている」ものである。
 
「お客様は神様」というメンタリティーは、いったいいつから日本に定着したものなのか知らないが、まあ、「お代官さま」がいたあたりやら「貴様っ!歯あくいしばれっ」あたりであろうか。日本安全神話が崩れたあたりから、この神話も崩れ始めていることを賢い諸君ならもうお気づきであろう。いまや日本ではウェイターに文句のひとつも言おうものなら逆切れされて刺されちゃったりしかねないのだ。そこまでいかなくとも・・・恐ろしくて口に出来ないようなひどいことを、間接的にキッチンあたりでお皿の上にされちゃうかもしれない!ああ、クワバラクワバラ。
 
さて、このチップであるが、確かに海外慣れしていない日本人には難しいであろう。心の中は「ど、どーやったらスマートにチップができるんだろ、ううぅ、なんかう、まくできそーにないなあ、いくらぐらい?ああ、もう、恥ずかしいからいいや。日本にはそんなシューカン、アリマセン。旅の恥はかきすてさっ。」と開き直ってしまうのが本当のところだろう。
 
しかしっ!日本にはないその習慣が、近頃ではどこでもあり、「それが国際的マナーになりつつある」ということを知ろうではないか!そう、日本にも立派な「心付け」という習慣があるでしょう。あれ、あれですよ。
 
ばなな猫は幼少の頃から温泉が大好きであったので、よく旅館にお世話になる。お世話になるからには「お礼」をするのが礼儀である。なんてったって上げ膳据え膳ですよ。仲居さんにには到着のお茶が出てくる頃、さりげなく「よろしくお願いいたします」といって心付けをするのが礼儀。もちろんお金で良いのである。その辺の土産物屋で買ったおいしくないお菓子なんかより、絶対に現金が望ましい。相場は、一泊分の5%~10%ぐらいが望ましい。もちろん、新札でぽち袋に入れてお渡しするのが礼儀である。
 
ね、こんなに難しいチップの習慣のある日本なのに、「釣りはとっときな」という気質のある日本なのに、なぜレストランごときで上手にチップできないのか不思議である。
 
チップというのは、つまり「どうもありがとう」という気持ちなのだ。ありがとうの形=現金をもらってうれしくない人間はどこにもいない。ウエイターやウエイトレスは君の使用人ではないということをまず理解しよう。彼らはレストランで働いていたって、別にそのレストランを代表する社員でもなんでもない。あなた、という人にサービスをしてくれるひとりの人間なのだ。「でも仕事でしょー、サービスしてあたりまえじゃないのよー。」なんて言っているそこのあなた。あなたの食べてきた、あれやらこれやらに、あれやらこれやらが入っていなかったかどうか確認してみる必要がある。もう遅いけど。まあ、今からでも良く行くレストランで冷たい目が光っていないか確認してみようではないか。
 
ミシェラン3星のレストランやイタリアの高級レストランではチップするでしょ?当然でしょ?だったらどこでもしようではないか、日本人。「日本人はチップくれない」なんて不名誉なうわさは恥ずかしいぞ。しかも、ここはネパール、どの飲食店だって笑っちゃうほど安いわけである。
 
恐れるな、日本人よ!チップの相場は、現在ヨーロッパでは15~17,5%、アメリカではそれを上回っている。精算を済ませたら、ささっと計算して、そのぐらいの金額を、せめて最低でも10%ぐらい、明細書はさみにはさむ、 テーブルに残す、直接手渡す、またはチップBOXに入れる、これだけのことでよいのである。
 
「金回りの良い日本人はケチ」と思われたら、もう確実にあなたのレストラン人生での幸せ度は低迷する。気持ちの良い笑顔もあまり期待しないほうが良いかも。「給仕をする仕事」というのはよほどのプロ意識がない限り、絶対に望んでやっているわけではない、という事は簡単に想像がつく。であるから、やはり「ありがとう」という気持ちを忘れるべきではない。外国に出たら、あなたはもう国際社会の一員なのだ。日本で通用することも通用しないのがあたりまえ。
 
「お客様は神様」
 
・・・・・日本以外ではありえないんですよー、おーい。
 
 

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